2020年4月5日日曜日

日曜日なのだった


買い物に出かけたら、
向こうから「親類ぜんぶ集合」みたいな人たちがやってきた。
すごく珍しいと、なんだか思った。
先頭には3才ぐらいの幼女が元気にあちこちして、
面倒をみているのはやせぎすのパパだ。地味なメガネの疲れた30代。
そのうしろに、親戚のおじさんとおばさんみたいな2人、それからパパの奥さん、
奥さんのお姉さん夫婦、みたいな人たち。
お姉さんはモノ悲しげなおばあちゃんの肩を抱いている。
みんなで歩いていく。・・・ゆっくりと、ぞろぞろと。
20センチぐらいしか離れずに、みんなでなんだか歩いて過ぎていく。
全然楽しそうじゃないので、こんにちわと言うことができず、
残念な気がしてならなかった。今どき偉いなあと思って。
コロナ厳戒粛々従うばっかり都市の、この午後なのだ。
こんなにかたまって歩いていくなんて、不思議というか個性的というか。

それからまた、私はスーパーマーケットの方へと歩いた。
すると行く手に、初老のご夫婦が、二人とも立ち止まって袋の荷物を整理中、
旦那さんは病身らしく、不機嫌だし硬直気味だけれど、
頭上の桜の花はどの枝もどの枝も華やかに満開、あの雪のあとなのに。
「まあ、なんてきれいなんでしょうね!」
私がおどろいてしまったら、白髪の身ぎれいな奥さんが優しい顔でにっこり。
「ほんとうに見事ですよねえ」
私達たちのいるこちらの並木では、桜はすべて満開、
向かい側では、すべてがもはや葉桜。

それも不思議、「親類ぜんぶ集合」の人たちもすごく不思議。
ああ、さっきの人たちはお花見をした帰りだったのか、
そうは思わなかったとあとでびっくり。今日は日曜日だったんだと。
お花見ってこうなるとやっぱりすごく大事よね。
次から私もみんなとグズグズしないでお花見をしよう。
もう「よいトシ」なんだから、にこにこして勇敢に人格をたて直そう。

1億総コロナ、はどうかと思う。