2020年4月12日日曜日

読書!


おとといのことだけど、
私は多摩市役所に行った。それはともかく、
市役所には100円で本を売ってくれるコーナーがある。
どんな時でも、税金を滞納した時だって、
私はついついここを見る。
小さい本棚。誰かが寄付した古本が、
分野おかまいなしの素朴さ古さで並んでいる、
そこが好き。
壊れかけた瀬戸の招き猫にお金を入れるけど、
3冊買って300円。

山崎豊子さんの「暖簾(のれん)」を読んだ。
むかし買って読んだのに失くした小説。
山崎さんの初出版で出世作だ。

夢中で読んで、身体をこわしてしまった。
おもしろくってやめられない。
おもしろくておもしろくて。
おなじ姿勢にこりかたまっていたせいか、
今朝は手持ちのクスリを飲まなくちゃならない。
気分がわるくておかゆさんにしたぐらいだ。

「暖簾」を読んでわかることは、だれの人生も
恐ろしいほど苦しい、ということである。

大阪は船場を舞台にした一流商人の成功物語だから、
それはもうワクワクして読むけれど、
襲いかかる苦難を、吾平も孝平も除けて通れはしない。
避けては通れない道を、いかにかしこく俯瞰して、
   ふかんとは全体の中の自分をよくつかんで
   ということだろうけど、
船場商人としての彼らの意地と誇りが通っていくかの、
これはスカ―ッと気持のよい物語りである。

こんなふうに、
全世界的なコロナ騒ぎを、工夫と鋭いカンとで、
自分たちも切り抜けられたら、どんなにいいだろう。
図書館がやっていなくてホント残念。
(書店で買えば、新潮文庫430円です)