2020年4月22日水曜日

火曜日もよい日だった


前からの約束。

とうとう玄関のベルがなったので扉をあける!
青木洋子さんがにこりとして、
「マスクをした方がよろしいでしょうか」
どちらでも、と迎える私もマスクなし。
部屋にはさっきから風を入れた、床も拭き掃除をした。
布類は、洗濯をしたり、できるだけ日光にさらした。
私は元気だし熱もないし。それに今日はとてもよいお天気だ。

青木さんって私が多摩市に引っ越して初めてできた知りあい。 
図書館協議会委員の公募があって、私が(めでたく)うかったらそこにいた先輩だ。
以来何年たっても、図書館カンケイの場所というと、必ずそこに青木さんがいる。
地味で辛抱強くてどんな図書館にも行くし、どんな面倒くさそうな報告書も読む。
多摩市における「地の塩」って、こういう人かも。
何年たっても、図書館関連のお知らせを発行しているし。
地味、地道、地の塩。私にはサッパリわけがわからないタイプ。
おもしろいから、話のはじめに、図書館にそんなにこだわるワケをきいてみた。

うーん、そうね。青木さんこまった顔で首をかしげた。

人間って文字なしにはしゃべれない。意志を伝えられない。
人は文字という記号をおぼえて、それで社会で意志の伝達を、
つまりコミュニケーションをするわけよね。
会話っていうのは音よね。音だけだとその場限りで、消えちゃうけど。
でも文字は、音とちがって、あとに残すことができる。
あとに残すことで後世に、それを書いた人の意志を伝えることができる。
真実だと思う事を誰かが書くでしょ。
それを読んだ別の人が、ほかの人の人生を、別の真実を識るのよね。
だから私は伝記が好きなの、大好き。
読むことって、私は今ここにいるだけなんだけど、
本を読めば、そこでは別の誰かが、なにかを切り拓いていく。
地球の別の場所で、たとえばアイスランドで。その行動とか知恵とか。
そういう・・・書かれた事実と私の思いがけない出会いがあって。
私はそれがすごくうれしいのね。
そういう経験ってたいていの人がしてるんじゃない?
本って、どっかで読まなくちゃいけないのよね。
図書館って、歩きながらある本を、偶然、手に取るじゃない?
私は そういう真実との出会いが、とてもうれしいのよね。

私たちはそれから、それからいっぱい話をした。
私は青木さんから可愛らしい「ひと目でわかる日本国憲法MAP」を買い、
むかし書いた「小説・となりのトトロ」を、二人のお孫さん用に買ってもらった。
青木さんはほかにもいっぱい印刷物や参考書をもっていた。

以下は、彼女が友人からすすめられて、ただちにプリントした8ページのものだ。
青木さんは、すごく仕事が早い人である。

 藤原辰史:パンデミックを生きる指針 ー歴史研究のアプローチ
  表題の下に説明があった。
  この文章は岩波新書HP「B面の岩波新書」に掲載されたものです。
  著者の承諾を得て、PDF版をアップしました。
  このPDF版は自由に印刷・複製して頂いて構いません。ぜひ多くの方に、
  読んでいただけるようご協力ください。

さて、私が思うに、最近のコロナ・ウィルスについての記事は、
まるでワザとのように、 医学者や科学者のコメントばかりである。
これは意図的な、片手落ち、なのではないか。
社会科学や歴史や哲学の優秀な専門家の説明が、大騒動の今こそ必要ではないか。
「病気」という字は、病+ ニンゲンの気持ち、でしょ。
病は気からって、やっぱりそういうことじゃないのか。
気持ち無視の、人間事情無視の、病気全快ってあるのかなーと本気で疑問だ。
 
藤原さんは京都大学人文科学研究所の准教授であり、専門は農業の歴史。
著書に「給食の歴史」「分解の哲学」「トラクターの歴史」などなど。

文章は切り口もはっきり、良く整理された論理展開が、物凄い。
あんまりハッキリしているので、8ページもあるけど、しっかり読めちゃう!
ぜひぜひ、ぜひみなさんにおすすめしたい次第である。
私は今朝、歯医者さんに行ったけど、これを仲良しの(苦笑いするかな)彼に、
忌々しくも長い治療のあと紹介してから、なんとかやっと、
電車に乗って帰ってきましたが、風景が窓外を後へ後へと流れて、
風景は涙にゆすれ・・・という音楽のような表現を、思い出しました。

今は電車って、昼間は理想的にガラガラなんですね。