2020年4月9日木曜日

今日という1日


2階から見ると、むこうに今朝は赤錆びた色の鬼がいて。
公園の樹が盛り上がって、真ん中が顔のように見えるのだ。

頭のてっぺんがちゃんと鬼らしくギザギザ、両眼まがいのスキマがふたつ。
まえに大きな鼻、でっかい鬼づらの横に働きものらしい肩が盛り上がり、
両腕は長くどっしり、もちろんぜんぶ黄緑や赤さび色の木の葉っぱ。
今日は鬼になって、老眼白内障の私をたぶらかしているのだろう。
雲もいないし、風もないあたたかい日。
鬼の眼が、左目はこっちのメタセコイヤの枯れ枝を、右目は私を見ているのよね。

電話がかかって、籠浦さんが、
萱野さんをさそってお茶をのみに来てくれた。
籠浦さんがタケノコの茹でたのを分けてくれる。
ふたりの にこにこ顔をながめたら、悪いことはとりあえずみんな忘れた。

夕方うろ覚えでタケノコご飯をつくる。
その前に、午後ずーっと自分のゴミ部屋を片付けたら、がっくり疲れた。
こまって自転車に乗って、コロッケとイワシバーグを買いに 。
タケノコご飯に、ほうれん草の茹でたのに、コロッケおよびイワシバーグ。
このあいだ、トミちゃんが来てくれた時は、2枚のコロッケを4つに切って、
3人で分けたっけ。

そのほかに午後は、ロマン・ポランスキーの(インタヴュー構成) 自伝映画を
茫然とひとりで観る。二度目だというのに初めて観るような気がした。
共感する感受性も力量も、コロナ爆発以前の自分にはまるで無かったと思った。
ポランスキーはナチスの時代のユダヤ人。世界はいま資本家支配下でコロナ大流行。
不幸だと感受性や力量は増すということだ、たとえトシはとっても。

洗濯物を干そうとしたら雨がぽつぽつ。
暖かい日だと思って一日暮らしたけれど、天気予報だったわけね。
今はもう夜なので、ビルディング半分ぐらいの鬼さんもなんにも見えません。