2021年1月12日火曜日

ぼたん雪のふる日


朝、やっと立ち上がって何げなく友人の家に電話をしたら、
家の人が出て、いま救急車をよんだところだと、いう。
数日まえには、1人暮らしのご老人から電話があって、
救急車を呼ぼうかどうしようかと、せっぱつまった緊急の相談だった。
老人といったって私も老人なのだから、これが本当に切ないし悲しい。

以前は自動車の運転ができたから、相談されれば、
よろこんでお手伝いをしようという気構えでいたけれど、
今ではそんなことも、もうできない。気持ちはあってもお役に立てない立場だ。
医療崩壊だとか、待って待ってやっと救急車が到着してくれても、
受け入れ先の病院がなかなか見つからない、という話が、
あっちからもこっちからも聞こえる。
病気が自分にもじわじわとやってきたような雰囲気である。

あーあ、
これって、デマみたいなもんじゃないのかなぁ、もう。
むかし、戦争が終わってまもなくのころ、
私たちはこんなにお医者さんに頼ってくらしていたかなぁ。

私は、医者にも薬にも頼らない、そういう年月を
頑固に送ってきたし、インフルエンザの予防注射もしない。
糖尿病になってたとえ血糖値が400になっても、インシュリン拒否のかまえ、
健康保険だって支払いはするけれど、自分のためにはめったに使わない。
ところが、としをとって、歯だとか目だとかに故障が出てくると、
とたんに考えてもいなかった生活がはじまって、もうビックリ。
ちょっと医者にかかろうものなら、
ありとあらゆる臓器が、たちまち血液検査されて、イモヅルみたいに、
体中が欠点だらけということになる・・・!?
もう死ぬまで気楽に原始人でいよう、というような無頓着はゆるされず、
私は元気さ、という間抜けな錯覚が、どんどん自分から遠ざかる。
ノンキなおじいさんにも、ノンキなおば~さんにも、なれやしないのだ。

あのさあ、
この錯覚こそが、馬鹿げているにもせよ、私の元気の支えだったのよ?
のんき、どんかんが、健康の素って、いいじゃないのよねー。
見逃してもらいたいわよねー。
こんなことをクサクサ考えていると、淡くて真っ白できれいなぼたん雪だって、
もしかしたら、気象庁が均等割りに降らせているのかも、などと。