2021年1月27日水曜日

星野富弘「種蒔きもせず」

 
この星野富弘さんの本は10年ぐらい前に発行されました。
タイトルに惹かれて手に入れたのですが、
「種蒔きもせず」が聖書からの引用だとは知りませんでした。

  空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。
  けれども、あなたがたの天の父がこれを養っていてくださるのです。あなたがたは、
  鳥よりも、もっとすぐれたものではありませんか。
   (マタイの福音書六章二十六節)

「種蒔きもせず」

星野さんは聖書でいちばん好きな一節からお借りしてと説明なさっています。
私は、聖書と無縁なまま生きてしまったせいでしょうか、
星野さんの画集をすこし持ってもいるのですが、
星野さんが、やっと生涯ぜんたいを、のびのびと肯定したのだと、
冬の寒空が厳しく氷のようにも晴れて。そういう自然の一部に星野さんもなって。
そして、のびのびとして遠慮のない表現を、
あらっぽくというとヘンですが。タイトルにしたのかしらと。
「種蒔きもせず」という語句から、むかし青年だった星野さんの自然を、
受け取ったような気がしたのでした。