2021年1月20日水曜日

名無しの会話


夕ぐれ、とにかく歩いて、買い物へ。
やっと戻って来たら、知り合いと橋の上でばったり。
彼女は被爆2世で、そういえばみっちゃんの友人だ。
血統書つきの秋田犬を今じゃ「この人」と呼んでる。

胸の痛むような可愛がりかたに、心配になって胸が痛む。

きけば6才。犬の6才ならばまだ若いわよね?と私がきくと、
「去年病気をして、病院につれていったら緑内障で。
片方の目にこの人、義眼を入れてるんですよね」
緑内障になって手術して義眼。 私だってまだなのに。

めずらしく今日は親切な夫君がよこに居ない。
夕方の冷たい風がビュウビュウ。
犬が温かく私にぎゅーっと身をよせてくる。
覚えてくれているのだ。いつだったか家に来たから。

橋のむこうから別の犬連れのご夫婦が歩いてきた。
大きな洋犬はまだ生後6か月。幼ない様子でよってくる。
「彼」がうなってワンッと吠える。
気が弱いんです。なんにもしませんからと彼女が謝っている。

たぶん「あの人」は、はなから自分を犬だと思っていないのね。
片目が見えないだけじゃなく。